<モンブランと教会>


フランス国境にそびえるアルプスの最高峰、モンテ・ビアンコ(白い山という意味・フランス名モンブラン)。アオスタ地方と呼ばれるこの一帯は、以前から行ってみたかった憧れの地。秋の山を描こうと10月に訪れた。
レーブは雑貨店が一件あるだけの小さな集落。夏のハイキングシーズンを9月に終え、11月から始まるスキーシーズンに備えて、家の修理や増改築が盛んだ。いろんな所でトンテン、カンテン、カナヅチの音がする。「若い者らに頑張ってもらう時期なんだ。ワシも昔はよくやったもんさ」と近所のおじいさんが語っていた。外からの客の多いこの村にとって、今は貴重な憩いの時間のようだった。
日が山の陰に入ると、とたんにもの凄い冷え込みがやってくる。太陽の力をこんなに感じたことはない。村の人たちに勧められ、カーサ・ディ・フィリッポ(フィリッポの家)というレストランに夕食をとりに行った。バターのこってりとした郷土料理に、体が芯から暖まった。